第1話

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第1話

第1話 『どうやって隠し通せっていうんだよ!』 気にしたこと無かったが俺ってもしかして不幸体質なのかもしれない。よりによって1番出会いたくねー人と出会ってしまった。 「あ!おはようございます。桐条さん。」 「ハイ…オハヨウゴザイマス…」 思わず声が引き()る。彼女は如月(きさらぎ) (りつ)。泣く子も微笑む華の風紀委員長だ。 74e4d879-0a4c-4605-98be-486a6417472e 普段なら大した問題でもないんだが…いかんせん今はこいつがいる。 『マコトさん!あっち行きましょーよー!』 どういう力なのか知らないが、何故か頭に直接こいつの声がする。 そう。今はこいつをカバンにねじ込んだままなのだ。ちょっとでも怪しい素振りを見せてカバンをチェックされなんてしたら終わりだ。いくら優しいと評判の彼女であっても流石にこの状況は許されないだろう。 しかもどうやらこの委員さんは裏ではとても恐ろしい毒舌バイオレンス人間との噂も… まぁ根も葉もない噂話なんてそこらじゅうに転がっているから信憑性なんてゼロに等しいのだが。 まあ適当な理由でもつけて逃げ出してしまうのが「こんな狭い所ッ!我慢できませぇ〜〜ん!!!」 「ぐえっ」 あぁ…終わった… 俺のカバンから飛び出してきた生き物を委員さんは目で追う。てかこいつって他人にも見えたんだ。意外。 「桐条さん?」 うっ…視線が怖い。というか委員さんの目死んでね?大丈夫か? 「なんですかその生き物は?」 「えぇ〜っと…分かんないです…」 我ながら随分と情けない返事が出てしまった。はっきり言って自分にもこの状況が正当化できる言葉が存在するように思えない。 「全くあんな狭い所に人を閉じ込めて何なんですか〜ってあれ?今これどういう状況なんです?」 お前もう喋るな。お前のせいで委員さんあんなに目付き悪くなっちゃって…あれ? なんか雰囲気違くね…? 「桐条さん?ちょっと着いてきてくれる?」 そこには1ミリも断れる隙のない選択肢の無い質問があった。 「はい…」 いったいこれからどうなってしまうのだろうか。そもそもこいつが何なのかさえも分からないのに…ただ1つ分かることは、俺の貴重な昼休みが全て消え失せてしまうことだけだった。
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