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第2話
第2話
『消えた日常、返して昼休み』
そうして連れてこられたのは屋上。いかにも面倒事って感じがする場所No.1だ。というか屋上ってこんな1生徒が入っていいもんなのか?そう思ったら委員さんも随分謎かもしれない。
「さ。着いたわよ。」
そう言っておもむろに振り向いた委員さんの髪は引き込まれるような紫になっていた。髪色ってそんなポンポン変えれるもんだったか…?
「私が要求するのはただ1つ。そのちんちくりんを引き渡しなさい。」
こいつってちんちくりんカテゴリなんだ。初耳。まぁ流石に急に説明も無しに「引き渡せ」と言われてもイエスと言えるわけが無い。
「ちょっと待ってくれ。委員さん。そもそもこいつって何なんだよ?教えてもらわなきゃあ渡す訳にはいかない。」
そう俺が言った瞬間、目の前を閃光が駆け抜けた。
「外したわね…中々やるじゃないの。」
一瞬の出来事でよく分からなかったが、もちもちした物体が居たはずの所に風穴が空いている。あいつは委員さんに命を狙われてるのか?てか委員さんの持ってるバール光ってるし…非科学的とかいう次元じゃないんだが。
「危ないじゃないですか!いきなり何するんです!いきなり!」
あっ怒ってる。珍しい。あと正論も珍しい。
「何って見れば分かるでしょ。攻撃よ攻撃。」
あっちはあっちで野蛮だな…しかしこのままでは埒が明かない。あいつには攻撃手段がないのか、逃げてばかりだ。いっそこのまま見なかったフリして退散するか…?
「マコトさん!力を貸してください!」
( ᐛ )...........はぁ!?
こいつは何を言っているのだろうか。あんな明らかに人智を越えた力を持ってる人にどう対抗するというのだろう。
「お前…いくら不思議とは言ってもあんなんに対抗出来るわけねえだろ。」
「出来るから呼んでるんですよ!助ける気があるなら早く来てください!!」
いつになく緊迫した雰囲気に、少し賭けてみようと思った。なんだか今までの平凡な自分にサヨナラできる気がした。
刹那、あいつの元へ駆け出す。
「何すんのか知んないけど、お前の言うこと信じてみるさ!俺の力、貸してやる!」
「…っ!」
「よーし!よく乗って下さいましたぁ!いっちょ行ってみよ〜!」
もち〜〜〜〜〜〜〜ん
モクモクと青白い煙が上がり、前が見えなくなる。そして、一筋の光が煙を切り裂く。
そこに居たのは、さっきまでの小さなもちもちした物体ではなく、なんだか超次元的な格好をした少女だった。
「……はぁ?」
「お初にお目にかかります!マコトさん!」
声はさっきまでのこいつと一緒だが…正直に言って認められない。どういうことだってばよ…なんか剣持ってるし…
「はぁ…随分時間かかったじゃないの。」
あっそういえば委員さん放置してた。スイマセン。
「さーて!覚悟してもらいますよ!!!」
「別に戦おうなんて気ないわよ。その物騒な刃物仕舞いなさい。」
………へ?
何を言っているのか分からない。ついさっきまでの恐ろしいほどの殺気はどうしたのだろうか。
「目標も達成したし説明は後ね。もう昼休みが終わっちゃうわ。」
そうそう昼休みが…ってはぁ!?
俺の大事な昼休みもう2分しか残ってないのか…2分じゃ教室に入って終わっちまうな…
「まぁまぁマコトさん!お気になさらず!どうせ昼休みあっても何も出来なかったですって!」
友だち…いるんだがな…(´・ω・`)
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