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第3話
第3話
『平凡って、知ってるぅ?』
あんな事があった後では午後の授業を真面目に受けれるはずもなく、結局話を聞いてないとしてボコボコに怒られてしまった。
「放課後に多目的室に来なさい。説明してあげるから。」
あの後委員さんにああ言われたが、何を説明すると言うのだろう。正直に言えば何も分からないから1から説明してほしい。というかあの人はなんで髪色が変わったり口調が変わったりするんだよ…
満を持して扉を開ける。
「あ!桐条さん!来てくれたんですね〜!良かった〜!もちろんあの子もいますよね?」
どうやら今はいつもの委員さんのようだ。
「私ならここですよ〜っ!」
ぴょこぴょこと飛び出して来たと思ったら人間の姿になった。そんなクルクル変えれるのかそれ。
早く本題に入らないとこいつが永遠に喋り続けそうなのでさっさと話の火蓋を切る。
「そんで、戦う気は無いって言ってたけどなんであんな事になったんだよ?」
「その話をする為にはまずその生き物の話からしないとですね…ツェル、入ってきて良いですよ。」
委員さんがそう言った時、あいつにそっくりなもちもちした物体が室内に入ってきた。えっ何?そんな複数居るもんなのこれ???
「お初にお目にかかります。私、ツェルナーと申します。」
そのもちもちした顔でイケボ出されると困惑するから止めてほしい。するとその思いが届いたのかマグレか、目の前のツェルナーと名乗ったもちもちは銀髪の青年へと姿を変えた。うっわイケメンじゃねえか良いな()
「私たちはツェルやその子などの生き物を纏めて代弁者と呼んでいます。」
なんか厨二病じみてんな。
「そんでこいつらがどうしたんだ?」
「今、この街には危険が訪れています。立ち向かうには代弁者の力が必要なんだけど、代弁者はパートナーの人間とピンチに陥らないと力が覚醒しなくて…」
だからあんな危険な目にあわされたのか。というかこいつら名前あんのか。もしかしてあいつも名前あんのか…?
「なぁ。もしかしてお前にも名前ってあるのか?」
「良くぞ聞いてくれましたッ!私の名前はクロノスタシスと言います!以後お見知り置きをッ!!!!」
急にテンション上がったな。てかもうお見知ってるし。あと名前なげーし。
「長くて面倒だしシスでいいか?」
「全然いいですよ〜!にしてもマコトさんって人のこと名前で呼べたんですね〜。なんか意外。」
俺だって人のことくらい名前で呼ぶわ。
「たしかに私の事も委員さん呼びしかしないですね〜」
うっ。そういえば名前で呼んだことないかも。
「とにかく!桐条さんには街の脅威と戦う事を手伝ってほしいんです。」
あぁ…ついこの前までごく普通と名乗っていたはずなのだが…運命とは非情なもんだ。
普通に考えて男子高校生がこんな物語の主人公みたいな出来事断れるわけがない。
「分かった。手伝うよ。」
「ところで1ついいか?」
「はい。何でしょう?風紀委員長に何でも聞いてください!」
「なんで昨日バール光ってたの?」
シーーーン…………
えっ何?俺なんかダメなこと言った?
「アレはツェルの力なんです。代弁者は皆特殊な力を持っていて、そのパートナーになった者も同じ力を使うことが出来るようになるんです。」
へぇ〜そうなんだ〜じゃねーよ!ちょっと待て。それってつまり委員さんも変な力持ってるってこと!?こえーよ…
「えぇ…委員さんも変な力使えんの…?こわ…」
「何を言ってるんですか!シスちゃんのパートナーになったから桐条さんも使えるはずですよ!」
……………はぁ!?!?!?!?
もう訳わかんねぇよ…誰か助けてくれよ…
どうやら、俺にはもう元の日常に戻る選択肢は残されていないらしい。
それならば、いっそ楽しんでしまおう。
自然と笑みが零れる。きっと、これが俺の2度目の人生の第1歩なのだ…!
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