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「あのね、異動で愛媛に行くことになったの。」
半年前、そう打ち明けたとき、ユキヒロは残念そうな顔をした。そして二人だけの“お別れ会”もやったし、思い出づくりに1泊だけだが、旅行もできた。
旅立ちの日「わたしたち、大丈夫よね?」と、駅のホームでリカは尋ねた。
リカの髪を優しく撫でるユキヒロは「もちろん。」と答えた。
待ち望む“結婚”の言葉は、これまでユキヒロと交際を続けてきて一度たりとも出てきたことがない。それでもリカには、彼以外の男性など何の興味もなかったし、何の魅力も感じなかった。二人はうまくやってゆけると思っていた。
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