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市駅から20分ほど先の駅で降り、そこから数百メートル歩くとアパートに着く。狭い1DKの部屋にもようやく慣れてはきたが、日々の忙しさのあまり、いまだにガムテープで封がされたままの段ボール箱が隅にいくつか置きっぱなしだ。
時計を見ると22時4分。「まだ寝てないわよね?」スマホを手に取った。
トゥルルル・・・
やっぱり今日も出てくれないのだろうか。そう思ったが、
<はい。>
「あ。ユキヒロさん。ごめんね、電話しちゃって。なかなかメールも来ないし。」
<・・・。>
「あんまり無理はしないでね。仕事も大事だけど、からだ壊したら意味ないし。ちゃんと睡眠取らなきゃね。まあそれはお互いさまだけど。それからね、5月の連休のことなんだけど───」
<あのさ、>
「え?」
<まだ仕事中なんだ。>
「そうなんだ。」
<また時間のある時に話そうか。ごめんね。>
ツー ツー ツー …。
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