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「きり…くん」
「キリキリ!」
さっきまで聞こえてきていた雨の声が聞こえなくなった。
それは彼女の名前である雨が止んだように。
その後に聞こえてくるのは途切れ途切れの聞き慣れた二人の仲間の声。
時間の感覚は無いしそんなに時間が経った感覚はないはずなのに、どこか懐かしささえある。
「キリキリってばぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「だぁぁぁぁうるせぇぇぇ!」
雰囲気ぶち壊し。
最悪の目覚めだ。
叫びながら目を開くと、いつもの教室の風景が広がっていた。
窓から見える外はもう薄暗く、周りに他の生徒達の姿が見えない所を見ると、今は放課後らしい。
「どんだけ寝てんのよ…。」
「今何時だ…。」
「えっと…今は夕方の四時だけど…。」
「通りで…。」
二人に聞くところによるとどうやら俺は昼休憩明けの授業で爆睡。
担当教師に怒鳴られようがひっぱたかれようが一切目を覚まさず今に至るらしい。
おおう、まさかそんな事になっていたとは…。
「大丈夫…?キリキリ…。
もしかして不眠症…?
楽しみにしてたプリンをお母さんに食べられて夜も寝れないほどショックだったとか…?」
木葉さんにガチ心配されてしまった。
と言うかなんだそのしょうもない理由はww
絶対お前の体験談だろww
「私の場合はコーヒーゼリーだもん~。」
「どうでもいいわwwww」
等と適当にあしらいつつ俺はポケットに入れていたスマホを確認する。
日付を確認すると、茜が消滅した日の前日を表示していた。
本当に戻ってきたんだ…。
それよりも!
「な、なぁ茜の事は知ってるか?」
「は?急に何言ってんの?」
ま、まさか…。
死神神社の巫女が再び死んだ場合、いかなる場合でも存在そのものが無かった事になる。
光の口から告げられたその言葉がふと脳裏に過り、悪寒が走る。
「知ってるも何も今探してるとこじゃん。
今日もこれから凪っちに話を聞きに行こうって話したじゃん。
忘れちゃったの?まだ寝ぼけてる?」
「何だ…。」
安心から肩の力が一気に抜け、また机に突っ伏す。
「え、ほんとに何!?」
本当にちゃんと元通りに戻ったんだ…。
「き、キリキリ?」
なら、俺が今すべき事はただ一つだ。
「二人とも聞いてくれ。」
「え…何?」
「うん。」
「俺はあいつを…茜を助けたい。」
そうだ、ここからまた始めるんだ。
俺達の物語はまだ終わらない。
いや、終わらせない。
今度こそあいつを助け出す。
あの日夢見た、みんなで一緒に蜜柑を食べれる未来を叶える為に。
「二人とも、これからする話は突飛過ぎる話かもしれない。
だけど本当の事なんだ。
だから信じて欲しい。」
「ふ~ん…。」
どこかつまらなそうに、木葉は適当に返事する。
「うん、私は勿論信じるよ。」
うん、流石頼もしさの極み幼馴染み。
「だってなんて言うかさ、最近私達の周りで起きてる事って大体知らない人が聞いたらえ~嘘だ~って話じゃない?」
「……!」
確かに…!?
「実際カニカニも金城ちゃんとかも最初は半信半疑って感じだったと思うけど合宿の時に実際に戦ってるとこ見て改めてちゃんと納得したとこあるんじゃないかな~。」
「ま、まぁ…。」
「ま、だから何が言いたいかって言うとさ、今更別に何を言われても疑ったりしないって事だよ。」
「そっか、悪いな。」
「例えば、そうだな~。
実は俺は変態かm…」
「ストップ、一瞬でも感謝した俺が本気で馬鹿だったわ。」
「桐人君が真剣に話をしようとする時は嘘じゃないって分かるよ。」
「うん、そうかそうか、やっぱり持つべき物は優秀な幼馴染みだな。」
「出来過ぎた幼馴染みだと…!!
クラスメイトより優れた幼馴染みなぞ存在し…あだ!」
「その辺にしとけ…。」
そう言って軽く小突いて黙らせる。
全く…そう言うとこやぞ…!
まぁともかく…。
話はそれた…いやそらされたものの…。
俺はこれまでの経緯を二人に出来る限り分かり易く説明した。
「なるほどね~。
キリキリの言いたい事は分かった。」
「あぁ、だからもう後が無いんだ。
あいつが消える前に明確な変化を起こさなければ、今度こそあいつは存在そのものが消されてしまう。」
「ふ~ん、それじゃ~さ、雨っちが言ってたキリキリの大切な人ってやっぱ茜っちの事だったんだ。」
「うっ…まぁそうなるな…。」
「でも話を聞いてるとさ、結論で言えば雨っちの予言は外れてるんだよね。」
「確かに茜は消えたけど俺は今も生きてるからな。」
「雨さんが間違えたって事…?」
千里がおずおずと聞いてくる。
「いや違う。
雨が見た未来から何らかの分岐によって変化が起きたんだ。」
「だと思う。
もし雨っちが予言した通りキリキリも自殺していたなら物語は本当にそこで終わっていたと思う。」
実際そうしてしまいたくなるほど悔しかったし悲しかった。
そうしてしまっていた可能性もないわけではない事を考えると、その後の事が頭に浮かんでぞっとする。
「かもしれないなんて考えててもしょうがないよ。
とりあえず今はキリキリがこうして生きてまたやり直すことが出来たんだから確実な前進だよ。」
そう言う木葉の表情はさっきまでとは違い至って真剣な物だった。
「まぁ、な。」
「とにかくさ、茜っちを救う為の作戦、考えなきゃね。」
「あぁ、実は一つ考えがあるんだ。」
「え、キリキリが作戦!?」
「失礼すぎんだろwww」
「まぁまぁ…木葉ちゃん。
せっかく桐人君が考えてくれたんだから…。」
「まぁ千里っちがそう言うなら。」
信用無さ過ぎだろうww
「とりあえずその作戦を説明する前に一応確認もかねて茜と日向誠についての状況を整理するぞ。」
「えっと、日向誠と茜さんは実の兄妹で、日向誠が力を手に入れたのは茜さんの事で復讐する為…だったよね。」
「そう、流石幼馴染み。」
「えっと…そこはあんまり関係ないような気がするけど…。」
「くぬぬ…やるな…幼馴染み…。」
「えぇっと…。」
ほらww俺が真面目に話してんのに木葉が悪乗りするから千里が困ってんじゃねぇかww
「う~ん…とりあえず前々回までのあらすじもかねてさっきのキリキリの話をまとめると~。」
おいこらwwメタな発言すんなww
確かに読者には親切だけどもww
「いやwwキリキリもしてんじゃんww」
「馬鹿言え主人公はいいんだよ。」
「なにそれwwww」
と言うか俺は口には出してないんだからセーフだ。
「うわ~w駄目だこの人ww」
有能と言ってくれwwっと…こんな話をしてる場合じゃないな。
「は~…。」
うおw露骨にため息を吐かれたww
「話を戻すけどさ、私たちが戦おうとしている日向誠は、全てを破壊する力で世界征服を狙っている。
そして私たちの味方だった筈の茜っちは実は日向誠の妹の生まれ変わりで、生前酷いいじめを苦に自殺した。
しかもそのいじめの原因ってのが茜っち自身のせいじゃなくて、日向誠が天才だからそれに対しての嫉妬、か。」
「そんなの酷い…。」
「確かにな…。」
「どっちにしたってやりきれないよね…。
茜っちはただ妹ってだけだし、一応原因の日向誠の方もただの言いがかりだし…。」
そうなのだ。
例えば直接の原因が完全に日向誠だったなら、茜は日向誠を憎む事も出来たし、今だって味方なんてしていないのだろう。
でもそうじゃない。
日向誠もまた被害者なのだ。
だから茜は彼を憎む事が出来なかった。
かと言って加害者に怒りをぶつける事も出来なかった。
やり場の無い苦しみや怒りと悲しみの先に茜は自ら命を絶つ道を選んでしまった。
「私もさ、日向誠の気持ち、分かるよ。
今の暮らしを守る為についこないだまでずっと本当の自分を隠して生きてきたから。」
木葉が言う本当の自分、と言うのは金持ちの令嬢としての姿だ。
学校に通っている間はそんな自分を隠して普通の女子高生として生活している。
実際こいつにこんな裏の顔があったなんて普段から共通の部活仲間でクラスメイトでもある俺ですら言われるまでは気付かなかった程だ。
それだって沢山の苦悩と、困難で成り立っていた物なのだろうなと思うと、本当に恐れ入る。
「だからどうにかしてあげたいって気持ちはすごくある。
だから私は協力するけどさ…。
簡単では無いと思う。」
「まぁそれは確かに…。」
「実際単純に茜っちが消える瞬間を防ぐってだけなら、発砲の直前にキリキリが二人にバリアを作れば良い。
でもそれはその場しのぎの解決方法ってだけで問題の根本的な解決には繋がらないよね。
」
「だよな…。」
単純に茜を救うだけなら現実的に出来ない訳じゃない。
タイミングは一度経験して分かっているのだから、後はそれを見計らってバリアを出せば良い。
そもそも、ただ単純に茜の消滅を防ぐだけなのなら俺に頼らなくても雨がテレパシーを使って茜を引き留める事だって出来た筈だ。
うお、それでどうにかなるなら最初からやってるわって声まで聞こえてきた気がするわ…。
〈妄想から幼女の声の幻聴が聞こえてくるなんて本当にゲレンデが溶けるほどのロリコンさんだね。〉
うん、それが幻聴だったら良かったんだけどな…。
てかなんでそんなネタ知ってんだよ。w
年上の俺ですらたまたま知ってたってレベルだぞ…。
〈この際そんなことはどうでも良いよ。〉
だから最初にネタ出してきたのはそっちなんだよなぁ…。
〈あなたが思うように最初からそれで解決していたならそもそもあなたには頼らなかった。
最も茜の未来に影響を及ぼす可能性が高いあなたを彼女に近づけることさえしなかった。
〉
「まぁそうだろうな…。」
「キリキリ…?…あ…そっか…。」
「おい馬鹿やめろ、勝手に納得すんな。」
「大丈夫、ちゃんと分かってるから、心配ないから…。」
「心配しかねぇわwwww」
【相変わらず騒がしいね。】
やれやれ、とでも言いたげな表情で看板を片手に俺達の背後から雨が歩いてくる。
「あれ、雨っちだ。」
【結論から言えば私には最初から全部分かっていた。
いずれ茜があなたと出会う事も、日向誠に出会う事も、生前の記憶を取り戻してあなたと敵対する事も、最終的にいつどうやって再び命を落とし、消えていくのかも。
ならどうしてって思う?
最初に言った通り全てを知った上でどうにか出来るのなら私は誰の力も借りずに自分で茜を救う方法を選んだ。】
「…でも雨っちにはそれが出来なかったんだね。」
雨の筆談を見て、木葉が心苦しそうな表情で言う。
【認めたくないけどそうだよ。
さっき木葉が言った様にあの時あのタイミングで茜を救う事が出来たとして、また次のその瞬間が訪れるきっかけを作るだけ。
それは本質的に彼女を救う事にはならない。】
「だから俺達の力が必要って訳か。」
【不本意だけどあなたの存在は茜のこれからに大きく関わっているからね…。】
「一々一言多いんだよなぁ…。」
【一つ、良いことを教えておいてあげる。
私はこれまで、嘘を吐いた事はなかった。
まぁ冗談を言う事はあったかもしれないけど。】
おうそれはロリコンの事だよな、はいと言えこの野郎。
【それは別に間違っていないような気がするけど…。
まぁ良いや。】
おいこら勝手に話を終わらせるんじゃない…!
【最初に予言したあなたが自殺する未来も私は最初から知っていたし、確信を持ってあなたに伝えた。
でも実際あなたは今も生きている。】
「予言が外れたって事か?」
【少し違う。
これまで筋書き通りだった未来が、あるきっかけによって書き換えられたからだよ。】
「あるきっかけ…?」
【そう、これも認めたくないけどそのきっかけとはあなたが光と出会った事。】
「光ちゃんと出会った事?」
雨の筆談を木葉がオウム返しする。
【そもそも最初に私が見た未来の先に、光の存在は無かった。
それでもあなたは今のように仲間と助け合い、日向誠のもとまでたどり着いた。
でも結果は知っての通り。】
「っ…。」
【思えばこれまであなたは何度も心が折れそうになりながらも決して諦めなかった。
それはあなただけの力じゃない筈だよ。】
そうだ。
これまで俺は何度も恐怖や不安に押しつぶされそうになった。
自分の正義を疑った。
それでも俺はこうしてここまで来れたんだ。
それには勿論なんだかんだ言いつつも助けてくれた茜の存在や、死にかけた時に勇気を振り絞って試練を受け、俺を救ってくれた千里や、普段ふざけてる癖に真面目な時には急に冷静になって的確な事を言う馬鹿とか。
「ちょww私の扱い雑すぎじゃねww」
でも実際その中でも一番大きかったのはいつも近くにいてくれた光の存在だろう。
事実今だって光がいなければ俺達にはもうどうする事も出来なかったし、雨が言うように自殺していた未来だってあったかもしれない。
【みたいじゃない。
確かにあったんだよ。】
そう書いて俺に看板を押しつける手には強い力が込められていた。
その表情には、確かな怒りが表れていた。
そしてその看板を手元に落とすと、彼女はそのまま乱暴に詰め寄ってくる。
口を何度かパクパクと大きく開けるも、彼女のその口からは何も言葉が発せられない。
彼女が怒りで俺を怒鳴ろうとしてるのは分かった。
そんな様子は、今まで見たどの彼女とも違う。
思えば最初からの印象は最悪だったし、好かれていた訳でもなければ俺は何度も雨の忠告を無視してきた。
それでも雨はこんなにも明確に怒りをぶつけてきた事はなかった筈だ。
勿論、テレパシーでの会話がほとんどで直接会って話すことが少なかったからと言うのもあるのだろうが。
〈あいつは未来を変えた。
そしてあなたを救った。
どうしてあいつなの!?
私は他の事なんてどうでも良い。
ただ茜だけが助かってくれれば…自分の命だってどうでも良いと思っていたのに。
どうしてあなたなの!?
どうして茜を救う為に必要なあなたの手助けをする事ですら関係ないあいつには出来て私には出来ないの!?
どうして私には何も出来ないの…!?〉
テレパシーでその本心を知り、俺は何も言えなかった。
〈私はどうして、あの時も…そして今も…叫ぶ事さえ出来ないの…。〉
それらは全て答えを求めた問いかけではない。
これまでずっと一人で戦い続けてきた苦しみと不満が今になって一気にあふれ出したのだ。
全てを言い終えた彼女は俺を軽く突き飛ばすとさっきまでの強気な態度から変わって弱々しくその場にしゃがみ込んだ。
そうか。
俺は今まで沢山の仲間に助けられて今ここまで来る事が出来た。
でもこいつは、雨は今までずっと一人で必死に茜を助けようとしてきたのだ。
自分の事さえも後回しにして。
「すげぇよ、お前。」
自然と声に出していた。
〈っ…そんな気休め…!〉
「やっと本音を口に出してくれましたね。」
と、そこにそう言って顔を出したのは光だった。
「桐人さん、雨ちゃんの試練、お疲れ様でした。」
そう言って光はにこりと微笑む。
一方の雨はそんな光を恨めしそうに睨み付ける。
「うー…雨ちゃん怖いのですー…。」
【誰のせいだと思ってるんだ…!】
今にも食って掛かりそうな目で睨む雨、しかしそれに光は優しい笑みを向ける。
「雨ちゃん、ここまでよく頑張りましたね。」
【何それ…今の話を聞いた上での皮肉?】
「いえいえ、純粋な労いの言葉ですよ。」
【本当にさっきの話を聞いてたの?
結局私はあなたの手の平の上で踊らされてただけじゃない。】
「そんな事ないのですよー。
実際雨ちゃんが居たから桐人さんは今ここに居るのですから。」
【それだってあなたの思惑通りの事でしょ?
同じ事じゃない。】
「ふふふ、そうだとしたら不服ですか?」
【逆に私が満足するとでも…?】
「しませんか?あなたも、そして私も、ここに居る三人も最終的な目的は同じじゃないですか。」
【一緒にしないで。
私の目的は私だけの物。
誰の助けもいらない。】
「むー…雨ちゃんは相変わらず気難しいのですー。」
【ふざけてるの…?】
「これまでずっと雨ちゃんが一人で頑張っているところを私は死神様と二人でずっと見てきました。
だから雨ちゃんがどんな思いで頑張ってきたのかは分かるのです。」
【あんたなんかに分かってたまるか!】
光の言葉に雨は鋭い目つきで光を睨み、看板を乱暴に突き出す。
「確かに簡単に理解されたと言われるのは納得のいく事ではないかもしれません。
何よりもそれを理解しているのは他でもないあなたなのですから。
いくら見てきたとは言え、想像でしかあなたの痛みを知ることが出来ないのは他の人間達と一緒です。
でも見てきたからこそ分かる物もある。
私は何もせずこれまで必死に頑張ってきた雨ちゃんの努力が報われずに終わるのは嫌なのです。」
【そう思うのなら邪魔しないで欲しいんだけど…。】
「むー邪魔じゃないのですー。」
「なぁ雨、俺は今まで、お前が一人で頑張ってた事を分かってたのにちゃんと考えもしなかった。
散々無視しておいて今更都合が良いのは分かってる。
俺にもお前の目的を達成する為の協力をさせてくれないか?」
「勿論私たちも協力するよ!ね、千里っち。」
「う、うん、私も頑張る。」
「ふふふ、頼もしいですね。」
【馬鹿みたい。】
「ふふふ、時には馬鹿になってみるのも悪くないかもしれませんよ?」
【私が馬鹿になったんならあなたのその脳天気な態度のせいだよ。】
「それは良かったのです。」
【ちっとも良くない!】
「今度こそ一緒に終わりにしましょう。
今やっとその為に必要な物は全て揃ったのですから。」
【やっぱりあなたの思惑通りなのは気に入らない…。】
「それでも雨ちゃんはなんだかんだ断れないのですー。」
【いや普通に断るけど…。】
「断りませんよ。
だって雨ちゃんは本当はすっごく優しい子なのですから。」
【その私の事勝手に分かったみたいな物言いほんとムカつく…。】
なんだこの反抗期の娘とそれを諭す母親みたいなやりとりは…。
【誰が反抗期だ!】
「ふふふ悪い気はしないのですー。」
雨は露骨に嫌そうな顔してるのに光はまんざらでも無さそうなんだよなぁ…。
「でも母親になるのはまだ気が早いのですよー?ぱーぱ♡。」
等ととんでもない事を光が口走ると木葉と雨が同時に顔をしかめた。
「アホか!?そんなつもりで言ったんじゃねぇ!」
「えーそうだったのですかー?私は別に構いませんよー?」
等と言いながら頬を赤らめる光。
「このロリコン。」
「いや構えよ。」
木葉さん真顔で罵倒ほんとやめてください。
千里は流れについて行けずにオロオロしてるし。
良いんだ千里、お前はそれで良いむしろずっとそうでいてくださいお願いします。(必死)
「桐人さん、知っての通り雨ちゃんの雨幻で時間を戻す事が出来るのは一度きりです。
なので今後どうするべきかきちんと話し合って決めてください。」
「あぁ、分かってる。」
【本当に分かっているの?
もう後が無い。
生半可な作戦で未来は変えられないんだよ。】
「だろうな。」
当面の目標は茜を一時的に救う事じゃなく、もっと根本的な解決だ。
茜も、そして日向誠も救われて初めて、この問題は解決と呼べるんだ。
その為に必要なのは多分俺一人の言葉や想いじゃない。
「皆の、出来るだけ沢山の人達の力が必要なんだ。
だから協力してほしい。」
「勿論なのですー。」
「わ、私も頑張る!」
ふんすと擬音を出しながら小さくファイティングポーズをとる千里がちょっと可愛かったですまる
「まぁ協力するけど…。」
木葉のやつ露骨に嫌そうな顔しやがって…。
と、言うわけで。
一応の方針は決まった。
後は明日を待つだけ。
これで全てを終わらせる。
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