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船で帰ることになりました
「いや~、遅くなってしまいましたな。
今日はもう帰られる予定でしたんでしょうに」
出張先で相手会社の社長がそう言い、倫太郎に謝っているのを、壱花は神妙な顔で聞くフリをしていた。
今回の出張は泊まりなので、冨樫の補佐ということで、壱花もついて来ていたのだ。
「いえ、大丈夫ですよ。
帰りの時刻がわからなかったので、新幹線もまだとってませんでしたし」
それを聞いた社長が、そうなんですか、では、と身を乗り出してきた。
「我が社の船で帰られませんか?」
船!?
と全員が思ったが、そういえば、フェリーの会社もこの社長、持ってるんだったと思い出す。
「船の旅もいいものですよ。
寝てる間に着きますしね。
いかがですか?
すぐに手配させますよ」
と言う社長の親切により、壱花たちはその日、フェリーに乗って帰ることになった。
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