810人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
「じゃあ、俺がついて行こう」
と倫太郎が立ち上がりかけたが、冨樫が、
「私がついて行きましょう。
社長は店を離れない方が。
今日はもう前半、斑目さんに任せてますし」
と言う。
斑目がトングを手に、うーんと渋い顔をして言った。
「俺がついて行く!
と言いたいところだが、俺には使命があるからな」
斑目は訪れた客たちに牡蠣を焼いてやっていた。
生活に疲れたサラリーマンたちが買ったビールを手に、牡蠣を待っている。
確かに。
この人たちに、ひとときの安らぎをっ、と使命感に燃えそうな光景だ。
「仕方ないな。
まあ、冨樫がついてれば大丈夫か」
と言う斑目たちに見送られ、壱花たちは店を出た。
最初のコメントを投稿しよう!