9人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
しげじいさんと裕子さんが感動の再会を果たした深夜、周囲に人がいない所で俺をスマホに変えた魔法使いが現れた。
「スマホになって気分はどうだ。さぞ苦しかろう」
「いいや、スマートオンでリネは最高だ!」
魔法使いが顔を覆っているフードを脱ぐと、口を真一文字に結び、目が充血している怒りの血相が現れた。俺はその姿に震え恐怖を感じた。
「私は自由に動き回る人間を動くことができない姿に変えて、もがき苦しむ姿を愉悦としてきた。だけど、おまえはどうして嬉しそうにしているんだ!」
「しげじいさんがLINEから始まる人の繋がりの大切さを教えてくれたんだ」
「今なら特別に人間に戻してやってもいい」
「このままスマホのままがいい」
魔法使いはその言葉を聞いて、口角を上げて歯を食いしばると、深い悔しさを顔に滲ませながら消えていった。
俺はしげじいさんのスマホとして生涯を送ることを決めた。
最初のコメントを投稿しよう!