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「高槻さん」
「っ!」
何か、思い当たった気がしたけれど、名前を呼ぶ声で、思考が強制終了させられた。
考えごとをしていたから、見えていなかった。
自転車で先に行ったはずの仁村くんが、私の少し先の道で、止まっていた。
「え……、仁村くん、どうしたの?」
「ん? 学校までの道、分かんないから、教えてもらおうと思って、待ってた」
「……」
うそつき。
もう六月なのに、毎日通ってる通学路が分からないなんて、ありえない。
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