夢かうつつの雪魚堂 弐 ~奈落にも、えにしめぐりの焔花咲き~

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ええ、件の措置につきましては、 彼のあまつきつねの方も憂えておいででした。 その眷属である手前もまた気に掛かけておりましたが、指を咥えて眺めるだけの日々……夏炉冬扇の誹りを免れぬと重々承知しております。 いつまで赦されるのでしょう――見て見ぬふりで済ますのを。 ただまどろんでいたいだけ……無情な遺棄の代償に、あのあたたかな泥に包まれ、胎児のように眠りたいだけ――そのあえかな願いの閨に、災厄を撒き散らすようなこの所業を、いつまで続けていられるのでしょう。 否。斯様な非道、端から赦されてなどおりませぬ。 なれど、他に術持たぬ手前どもは、今日も飽かずに放り込むのです。 果ててなお地平を焼き尽くさんと蠢く、怨念の塵芥を―― あの韓紅の壺の奥へ。 ――あるいは彼女らの見聞こそが、この閉塞を穿つ一条の光になると? なれば、尊き今ひとときを拝借し、謹んで具申つかまつりましょう。 忘れたのは、なにか? 忘れたのは、いつか? 忘れたのは、どこか? 忘れたのは、だれか? 忘れたのは、なぜなのか―― 思い出したとてそれすらも、風車の回る束の間に、忘却するがいのちの定め。 であればこそ、御縁は廻り、花は咲くのでございましょう―― それが奈落の果てだとしても。
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