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「桜さん、おはようございます。本日も宜しくお願いします」
「中條さん、おはようございます。こちらこそよろしくお願いします」
普段から私の担当してくれている黒服の中條さんと挨拶を交わして、私は店の奥にある控室へと足を進めていく。
「桜ちゃん、おはよう」
「ママ、おはようございます」
控え室に荷物を置き鏡の前で軽く髪を直していたら、この店のママが控え室へとやってきた。弥生ママは、この辺りでは美人ママとして有名だ。
この店のほかに何店舗か店を持っていて、またエステやレストランなどの経営もしており、敏腕経営者としての顔もある。
「桜ちゃん、昨日あのあと大丈夫だった? 栗生さんにしつこく迫られていたから心配だったの」
ママが心配そうに私の顔を覗く。こんな風に人を気遣い思いやりがある方なので、皆にとても好かれ尊敬されている。
お店の雰囲気がよく、女の子同士のいざこざがなく仲がいいのもこんなママの存在があるからだと思う。
私もママのことをとても尊敬している。ここで働いて二年になるが、今まで辞めずに続けてこられたのは弥生ママの存在があったから。
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