エリート外科医の甘い独占欲～どんでん返しは復讐のあとで～

孤独な蝶は夜の街に身を隠す

「大丈夫でしたよ。気遣っていただいてありがとうございます」

「私も間に入るようにはするから。なにか困ったことがあったら言ってね」

「はい」

「桜ちゃんのバースデーイベントにも顔を出すって言っていたから、そこで無理な要求をされたりしたらすぐに私に言って？」

「分かりました」

ママに向かって頭を下げた。

この世界にはいろんな人がいて、お客様も様々な人がいる。紳士的な人もいれば、下心を丸出しにし、隙あらばこっち側に踏み込んでこようとする輩もいる。

どちらかといえば、さっき名前にあがった栗生さんは後者のタイプだろう。栗生さんはテレビで活躍する若手俳優だ。

甘いマスクと紳士的な言動から女性に絶大な人気を誇っていて、長身でスタイルもよくモデルとしても活躍している。

だけど、紳士的なのはテレビの中の造られたイメージ。実際は酒癖も女癖も悪いと、この界隈では有名な話だ。

そんな彼に猛アタックを受け始めて三か月が過ぎようとしていた。