エリート外科医の甘い独占欲～どんでん返しは復讐のあとで～

孤独な蝶は夜の街に身を隠す

「それで藤堂さんの病状についてですが、血液検査とCT検査の結果、虫垂炎だと思われます。だいぶ前から痛みがあったのでは？」

「はい。実はずっと違和感があったのですが、仕事が忙しくて放置していたというか……」

「そうでしたか」

「はい」

「今は薬で一時的に腹部の痛みと吐き気は収まっているようですが、このまま抗生物質でちらすのは厳しいと思います。手術をするのがベストかと……」

「手術……ですか？」

その言葉を聞いて戸惑いを隠せない。

話を聞いて手術をするのがベストなのは分かったが、手術となると仕事をある程度休まなければいけなくなるし、入院となったときに身の回りのことを頼める人がいないので、躊躇ってしまう。