孤独な蝶は夜の街に身を隠す

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もし手術をするとなれば、母に連絡せざる負えなくなる。 「できれば、手術は避けたいです。仕事を長く休むわけにはいかなくて」 「その点においては、心配いただかなくても大丈夫かと」 彼はふわりと笑い、ベッド横にある丸椅子に腰を下ろした。 「予定している術式は腹腔鏡手術と言って、へその周辺から内視鏡を腹腔内に挿入して行う手術で開腹手術に比べて皮膚切開創が少なく術後の疼痛が軽いのが特徴です」 「そう、なんですか?」 「はい。術後の回復も早く痛みもほとんど気にならないと思います。炎症の程度にもよりますが、入院期間も短く、早期に仕事復帰できますよ」 それならば、この際手術を受けたいいのかもしれないと思えたのは、彼の人柄と丁寧な説明に好感がもてたからだ。 それに昨日、あの状況で私を助けてくれたことも関係していたかもしれない。 さてさてどうしようか。 「ご家族の方や職場の方とご相談なさってみたらどうでしょう? それから手術の日程を決める形でも構いませんよ」 「分かりました。そうします」  そうは言ったものの、それから数時間後。 薬の効果が切れだした頃にはまた激しい腹痛に襲われ始め、すぐに手術と受けることになったのだった。
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