淡く儚い永遠の始まり

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その後、風景を撮る七瀬先生を見ていて思った。素敵な趣味があって羨ましいと。 「お休みの日はよく写真を撮られたりするのですか?」 思わずそんな質問を口にした。 「そうですね」 「素敵な趣味ですね」 「母が写真を撮ることが好きで、僕も小さい頃からよくカメラを構えていました」 「お母さんが? それなら一緒に趣味を楽しめていいですね」 砂浜を歩き撮影をしながら、そんな会話を交わしていた。 「……そうですね」 先生は、切なげに笑い空を見つめた。その笑顔に違和感を覚えたけれど、その理由を聞くことはなかった。 そして、私がその切なげな笑みの意味を知るのは、それから少し経ってからのことだった。
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