淡く儚い永遠の始まり

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*** 七瀬先生とのまさかの再会から二か月が経ち、木々は赤や黄に染まり秋が深まってきた。私は相変わらず、キャバクラで働いている。 あれから変わったことと言えば、七瀬先生と連絡を取り合うようになったこと。 再会したあの日の帰り際、七瀬先生に連絡先を渡され『よかったらまた一緒に個展に行きましょう』と言われた。 連絡するか、数日悩んだが特にお断りする理由もないしメールを送った。 それをきっかけに連絡を取るようになり、何度か食事に行った。冬にある佐倉先生の個展にも一緒に行く予定になっている。 七瀬先生は私より歳が八個上の三十二歳。落ち着いていて博識で、気遣いもできる大人の男性だ。 私にとってお兄さんみたいな存在。趣味仲間ができて嬉しい、そんな感覚でいる。 特別恋愛感情があるわけではないが、先生と過ごす時間は楽しいと思える。渚さんの他に、密かな心の休息の時間が増えて嬉しく思えた。 そんな風に少しだけ生活が変わり始めた矢先、私のもとに再び黒い嵐がやってくることになる。
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