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東京のオフィス街にある文房具屋―紙山文具店―のガラス扉の真ん中にはお世辞にも上手とは言えない右上がりの墨字で次の様な貼り紙が貼られている。 『知恵をペン先に込め、どんな謎もスカッと解決いたします』 店主である
紙山文仁
(
かみやまふみひと
)
は街を歩けば地味な恰好をしていても大抵の人間が振り返る二十九歳の美男である。彼は文具店を経営する傍ら、趣味で探偵もやっているちょっと風変わりな男だ。
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