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一 消しゴムと消えた親友
「私の消しゴム、知らない?」
あの日、ランチを食べようとした時でした。早苗はそう言ったかと思うといきなり三年A組の床に這いつくばると、自分の机の下を覗きました。艶やかな漆黒の長い髪の毛先が床に付くのもお構いなしに。そして「買いに行くしかないかなぁ」と諦めたように言うので「私の消しゴムの半分、あげようか?」と声をかけました。でも、彼女はううんと首を横に振って微笑みました。
「まだ時間あるし、紙山まで行ってくる」
「うん、気をつけてね」
それから早苗は風のような速さでお弁当を食べてしまうと近くにある文具店へ行くと言ってお財布だけを持ち、中等部の校舎を出て行ってそのまま姿を消したんです。
すごく後悔しています。あの日、一人で行かせなければ良かったって。それでさっきこのお店の表の貼り紙を見て。はい、どんな謎もスカッとって書いてあるやつです。そうです、親友を探して欲しいんです。探偵さん、お願いします。
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