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そのボールペンは好きな色をしていた。
白雲に透けた青空のような淡い水色は最近買ったばかりの雪色のフェイクレザーの手帳とペアで使ったらさぞ素敵だろう。さっそくペンを手に取る。ペン先を出して左右に動かしてみる。さらさらと力を入れなくても綺麗に線が作られた。軽々とした書き心地に興奮して思わず笑みがもれた。
「試し書きは禁止のはずだが」
背中に低い声が飛んできたのは突然のことだった。ペンがささっていた棚のアクリル板に挟まれた紙札を眺めると「試し書き、ご自由にどうぞ」と綺麗なペン字で書かれている。私はついさっきこの札を見た。だからこそ気ままに手に取り試していたのに。それを禁止とは一体なぜ?
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