超人

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超人

宇宙人に肉体融合されてしまった高校生の男女5人組。そんなことは分かるわけもないが。 どうやら、義人はみんなが気絶から目覚めてからも30分以上は寝ていたらしい。 「義人、これを見てくれよ」 「あ?」 輝雄が石を見せた。 「これって、石だろ」 「うん」 「もしかして、珍しい化石なのか?」 「いや、この石をギュッとだな」 輝雄が石を握ると、石は粉々になった。 「ほら」 「ほらって、砂団子だろ」 「いやいや、石だ」 「いやいや、普通の高校生に石を握って粉々は無理だろ」 「いやいや、握力世界一でも無理だろ」 「まあ、だろうな」 「みんな出来るんだよ」 「は?」 義人以外の3人も石を握って粉々にした。 「おいおい、ドッキリか?」 「なら、義人もやってみろよ」 「いやいや、無理だろ」 義人は近くにあった石を握った。 「は?」 軽く握ったつもりなのに、石は粉々に。 「……たまたま砂団子だったんだ」 義人は別の石を握った。 石は粉々に。 「……偶然ってあるんだな。また砂団子かよ」 そんな事を10回は続けた義人。 「……この辺の石は、みんな砂団子なんだな、うん」 「俺たちも最初はそんな事を思ったんだが」 「だが?」 輝雄は近くの大きな岩を殴った。 ドガン! 大きな岩がバラバラに。 「は?」 「義人、この辺の岩はみんな砂団子か?」 「……みんな、岩を壊せるのか?」 「ああ」 「おれも?」 「やってみろよ」 「あ、ああ」 義人は近くの大きな岩を殴った。 ドガン! 大きな岩はバラバラに。 「……まだ夢を見てるのか」 「義人どん、この匂いは夢じゃないですな」 いつの間にか、猛は肉を焼いて食べていた。 「……猛、こんな時に何をのんきに肉なんか食べてんだよ」 「はて? バーベキューをやりに来たのでは」 「まあ、それはそうだが」 「食べながら話すとよいですな」 「そうだな」 5人はバーベキューを再開した。 「石は粉々にできるのに、割り箸やコップは粉々にならないな」 「壊してはいけないものは、無意識に加減ができるみたいだな」 「それは何とも便利な機能だ」 「だな」 「思うんだけど」 「ん?」 「みんなさ」 「うん」 「お尻から変なのが入ったじゃん」 「ああ」 「どっかの秘密組織がさ、秘密裏に開発していた小さな生物兵器が脱走して、私達のお尻から侵入したとか」 「なるほど」 「ふむ。ありえるかもですな」 「その副作用で、私達は超人になったのかも」 「なるほど、しかし」 「しかし?」 「そんな副作用だったら、明日くらいに死んだら嫌だな」 「細胞分裂1万倍とかですかな」 「そうそう」 「こうなったらですな」 「こうなったら?」 「いつ死んでも悔いがないように、毎日を楽しく生きるべきですな」 「まあ、そうだな」 「交通事故とかで死ぬときは死ぬし」 「だな」 とりあえず、バーベキューを楽しむことにした5人だった。 「キャー!」 女性らしき悲鳴がした。 「何科の動物ですかな?」 「鳥だろ」 「猿よ」 「うん」 「だよ」 5人はスルーした。 「助けてー!」 またまた、女性らしき悲鳴。 「日本語みたいですな」 「助けてって言われてもな」 「俺たちは警察でも自衛隊でもないもんな」 「消防でもないし」 「そうそう」 「わいたち、人を助けるキャラではないですしな」 「そうよね」 「いじめられてるし」 「助けてほしいほうよね」 「そうそう」 5人組は高校で、いじめられてた。 義人と友里恵、輝雄と明美は小学生の時から周りを気にしないラブラブで、そんな義人たちに周りは、イラッとしていたのだ。 猛は言動が変わった子供だったので、いじめられていた。 小学生の時からのいじめられキャラ5人組なので、休みとかは、いじめられ5人組で行動しているのだ。    5人で行動している時は和気あいあいとしているが、他人がいるところでは気配を消して生きている。 「しかしですな」 「しかし?」 「今や我々は超人ですからな」 「みたいだな」 「いじめられキャラから卒業ですな」 「あ、そうかもな」 「超人なら、困っている助けを求めている人を助けるのは必然かと」 「でもな」 「な?」 「いじめられキャラの俺たちが助けを求めても、誰も助けてくれなかったしな」 「そうでしたな」 「そうよね」 「うん」 「まあ、俺たち、空気を読まないからな」 「読めないのよ」 「だよな」 「変態5人組ですしな」 「おいおい、変態はひどいな」 「二組とも中学生からやりまくりですもんな」 「まあ、確かに野外でやりまくりだな」 「ラブホとか高いもんな」 「そうよね」 「家じゃ安心してやれないし」 「中学生から野外でやりまくり。それを人は変態と呼びますな」 義人たちは中学生の時から山の中でやりまくりだった。 やりまくりと言っても、ゴムを買うお金もないので出し入れはしていない。いわゆるBで止まっている。Cはしていない。 Bをしている義人たちを見て、猛は自分でやっていたのだ。 「誰か助けてー!」 さっきから、ずっと女性の悲鳴は聞こえている。 「どうする?」 「でも、何から助けてほしいのか分からないもんね」 「そうだよ」 「熊に襲われていたら無理ですな」 「この辺の山に熊なんていないだろ」 「動物園から脱走とか」 「まあ、岩を壊せるなら、熊なんて大丈夫だな」 「え? 熊ちゃんを粉々にするの?」 「熊ちゃん、かわいそうよ」 「熊じゃなくて、襲っているのが人間でも困るし」 「え?」 「俺たちが人間を殴ったら、殺人犯だろ、たぶん」 「あ、確かに」 「助けてくれたら100万円あげるから!」 100万円に反応する5人組。 「おい、聞いたか?」 「うん」 「聞いた」 「100万円か」 「1人20万円ね」 「殺人犯になっても俺たちは明日には死ぬかもだし、100万円をもらってバーッと豪遊するか」 「そうだな」 「そうよね」 「うん」 「ですな」 超人高校生5人組は、人助けをすることにした。
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