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「テメエ、やっと見つけだぞ!」
旧東京アキハバラの場末の軒先が朽ちた怪しいガジェット屋で、青年がサイボーグ店主の制止を無視して叫びながら、型落ちのスマートデバイスのタッチ画面を激しく擦っている。その待ち受け画像は金色のアラビアン・オイルランプだった。
過熱した端末が煙を噴いた。空間が歪む閃光が落ちた。グラウンド・ゼロからキノコ雲を背景に3Dホログラムが虚空に浮かび上がる。
「我は万有理論の魔人なり。青年よ我の力で貴方の望みを三つだけ叶えてあげようぞ。なんなりと申すがいい」
青赤の稲妻を轟かせて現れた端正な顔立ちの魔人とやらが言う。
「テンプレート通りの自己紹介かよ、時代に合わせて少しはアップデートしろや!」
憤る青年はスマートデバイスを掴んで壁に投げつけた。
「ら、乱暴はよしてくださいまし」
稲妻の魔人は煙の中で警戒し怯えた姿で揺らいでいる。
「テメエ、俺が誰か分かるか? 分かるだろ? 分かんねえとは言わせねえからな!」
青年は凄む。
「ええええ......そんなこと突然言われましても......」
魔人は泣きそうな表情で唇を震わせていた。
「アラジンの子孫だよ。千夜一夜でテメエから詐欺に嵌められ破滅して惨めに死んだ男の末裔だよ!」
狂気の瞳の青年はホログラム魔人の首を絞めながら鼻息荒く言った。
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