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自然公園には草木が生い茂っていた。熊型天使のような巨体であろうと、十二分に身を隠せる。今もこの公園のどこかで息を殺してじっとしているのだろう。だが、調律師からは逃れられない。彼らは目でなく耳で追跡する。かすかな駆動音に引き寄せられてやってくる。
公園を悠々と散策し始めてまもなく、草藪から熊のおしりが飛び出ているのをサイハが見つけた。
「あ、見つけた」
「ほんとにいたんだな…!この街どうなってんだ…?」
熊型天使との思いがけない遭遇。レイヤは、ただただ呆然とした。そうやってぼうっとしてばかりいるものだから、サイハは先輩風を吹かした。
「ほら!まだ仕事は終わりじゃないよ!天使を見つけたらどうするの!?」
「えぇ~っと…なんだっけ。ああ、捕まえて調律して出荷するんだ。だろ?」
「わかってるじゃん。じゃあ、今すぐ捕まえてよ」
「え?オマエがやるんじゃないのか?」
「せっかくレイヤが来たんだし、どうせなら色々と教えてあげようと思って!ほらほら、天使出して!」
「いや、でもオレ、あんまり手荒なことはしたくないっていうか…」
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