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「いいから!早く天使出して!例のアレ、おじいさんから貰ったんでしょ!?」
「でも、あんまり見せびらかすなって…」
「もう!!いいから早く!!見たいんだから、例の天使!!」
獲物を前にしながら、いつまでもそうやってぐずぐずしてはならない。逃げる隙を与えるだけだ。気付けば熊型天使が草藪から消えている。
「あれ?どこ行った?」
レイヤが慌てて見回すと、遠くに熊型天使の後ろ姿。のんびりとした足取りでこの場から逃げようとしている。ところが、災難は突如として降りかかった。上空から飛来したのは、翼を生やした豹。豹型天使だ。その鋭い牙で熊型天使の首元を捕らえると、そのまま持ち去ろうとした。これにはレイヤもますます慌てた。
「なにっ!?させるか!!」
咄嗟に吹かした炎の風は、豹型天使を大いに怯ませた。おかげで熊型天使は難を逃れた。そう安堵したのも束の間、ひとりの調律師が立ち塞がった。
「……あぁ、かなりのハズレだね。ま、わかってはいたからへこまないけどね」
その少年も調律師のようだ。育ちはよさそうだが、どうにもいけ好かない。レイヤの第一印象だ。
「おい、オマエ!その豹の天使、オマエのなのか!?」
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