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コネクタは潔く退いた。圧倒的な力の差を見せつけられては、そうするより他ない。アラシも同様だった。早くも大天使型に三度目の敗北を喫した。今日の所は出直すしかない。アラシは大層不機嫌そうであったが、レイヤは臆せず声を掛けた。
「おい、アラシ!忘れもんだぜ!」
「あ?」
振り向くと、鷹型天使の大群が目に飛び込んできた。五十羽はいる。レイヤのまわりを楽しげに飛び交っている。
「この間はゴメン!でも、ちゃんと治しといたからさ!オマエの天使!」
先日アラシは鷹型天使の大群でもってレイヤに戦いを挑んだが、大天使型を前に一網打尽にされてしまった。その時に焦げてしまった天使たちをレイヤはひとつひとつ時間をかけて治してやったのだ。
「結構苦労したけどさ、みんな喜んでるの分かるだろ?」
その言葉通り、彼らからは清い駆動音が響いている。調律は万全だ。けれど、アラシは浮かない顔をしている。
「所詮は借りもん。返すんなら、あのお嬢さまに返すこったな」
そう吐き捨ててアラシは行ってしまった。レイヤは、ほとほと困り入った。
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