その牙に天使の涙

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「あっ…!ふたりとも隠れて!」  マリアは、観葉植物の陰にレイヤとハッカを押し込んだ。まもなくして来客があった。 「やぁ、マリア!今日はなんだか一段と輝いて見えるね!」  コネクタだった。レイヤは驚きのあまり飛び出して行こうとしたが、危うい所でハッカに制止された。しばらくはこっそり様子をうかがう。マリアは笑顔で応対した。 「あら、コネクタくん。今日はどうしたの?」 「ああ。この間、君にぴったりの花を見つけたんだ。あの可憐さ、情熱を感じさせる美しさ、まさに真っ赤な薔薇さ。君に似合うと思うんだ」 「あら、またなのね…。いつも天使をプレゼントしてくれるのは嬉しいんだけど…。でも、あいにくもう間に合ってるのよ?」 「君の力になりたいんだ。あの大天使型さえあれば、君はもっと羽ばたける。そうさ、僕が君の翼になって…」 「天使は物じゃないのよ?調律師なら、ちゃんと天使の声と向き合わなきゃ」 「さすがマリアだ!言葉の重みが違うね」  とんだキザ野郎だ。レイヤは意地を悪くした。いっそ邪魔してやろう。 「お~い、マリアさんをあんまり困らせんなよ!」
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