その牙に天使の涙

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「なっ!?オマエは、いつぞやのマヌケ面!なぜここに!?」 「オレ、マリアさんの厄介になってんだ!だから、ここはオレの家も同然!」  コネクタは唖然とした。ただ、すぐに怒りが込み上げてきた。嫉妬だ。マリアをそっちのけにしてレイヤに詰め寄った。 「認められないな!君ごときがマリアと一つ屋根の下で暮らすなど!一体マリアとどういう関係なのだ!?まさか…」 「心配すんなって!ただの親戚だから!」 「親戚…!?つまり君は……そうか、そういうことか!」  コネクタから嫉妬の感情がすっと消えた。打って変わって今の彼は真剣だ。 「もしやと思っていたが…。天使の創造者であるゼンノウ。その血筋に(つら)なる者か、君は」 「えっ!?そうなんですか!?」  ハッカは仰天した。そのぽかんとした表情がコネクタの目に留まった。思わずほほえみかけたのだ。 「おや?驚いたね。こんなところにスズランが咲いているじゃないか」 「えっ…。あの…」 「君に似合う天使は…そう、白鳥型かな。白馬なんかもぴったりだね」 「あの…。私、調律師じゃないんですけど…」
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