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「そういうオマエは誰なんだよ?天使に泥棒なんてさせやがって!」
レイヤはその少年のことを何ひとつ知らなかった。だから、ハッカは気を利かせてそっと教えてやった。
「レイヤさん…。あの人、調律師なんです」
「なんだって!?」
この街の調律師は随分と乱暴だなぁ、とレイヤは思った。調律師の務めとは、天使の声、すなわち駆動音に耳を傾けることだ。もし不調があれば正しく整えてやり、清らかな駆動音を保つ。それが務めであると幼い頃から散々教えられてきた。なのに、天使をぞんざいに扱う調律師がいるとは意外だった。
「おい、オマエ!本当に調律師なのか!?」
「だったら、どうなんだ?」
「耳を澄ませよ!天使の声に!」
「ハッ!この甘ちゃんヤロウが!だったら、これからテメェにこの街の流儀ってヤツを教えてやるよ」
「お?」
「テメェも調律師なんだろ?だったら、自分の天使を持ってるはずだ!天使を戦わせて白黒つける!それが流儀だ!」
「天使を戦いの道具にするなんて、オマエ一体!?」
「オレはアラシ。文句あんなら、今すぐやり合おうぜ!」
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