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「大変な人に目を付けられましたね…。あのアラシって人、粗暴で有名な人ですから」
「へぇ。サイハとどっちが有名なんだろ」
「Dr.サイハに決まってますよ!なんてったって博士なんですから!」
「博士、かぁ」
猫型天使が屋上の隅にて縮こまっている。そのことにふと気づいたレイヤは、すぐに拾ってやった。耳を傾けると、駆動音の異変に顔をしかめた。
「アラシのヤツ、ヒドイことしやがって…!」
あのような調律師の手元にあっては、不調に拍車がかかるばかり。天使を無下に扱う調律師との出会いに、レイヤは大きな衝撃を受けた。
それからハッカは、レイヤを自宅へと招き入れた。確かに調律師が用いる道具や機器が一通り揃っていた。猫型天使の不調を治すには十分だ。レイヤはすぐに修理に取り掛かった。清らかな駆動音が鳴らせるよう調律してやる。
作業は順調だ。機嫌をよくしたレイヤは、修理をしながらもハッカに尋ねた。
「なぁ、ハッカ。やっぱオマエも調律師を目指してたのか?」
「あはは…。駄目でしたけど」
「そっか。でもオマエ、今でも天使のこと大好きなんだろ?」
「好きというか、なんでしょう………ほっとけないです!」
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