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「だよな~。ハッカみたいなヤツが調律師だったらよかったのに」
そこでレイヤは猫型天使の修理を終えた。今では川のせせらぎを思わせる清らかな駆動音がする。ハッカでさえ、猫型天使が喜んでいるように思えてならない。
ほほえみも束の間、ハッカは窓の外に目をやって愕然とした。
「レイヤさん!」
鷹型天使が脅威となって迫っていた。おびただしい数だ。五十羽は超えている。ハッカの自宅は既に取り囲まれて逃げ場がない。その大群を呼び寄せたのは、他ならぬアラシだった。彼は屋根にのぼっていて、そこからレイヤに呼びかけた。
「まだ勝負はついちゃいねぇ!」
「アラシ!今度こそは!」
そう意気込んでレイヤは屋根によじのぼった。鷹型天使は群れを成していたが、レイヤは怖気付くことを知らない。むしろ悲しんだくらいだ。彼らの駆動音は、あまりにも汚れている。あたかも咽び泣いているかのようだ。そのけたたましい騒音に、すぐにレイヤは耐えられなくなった。
「……泣いてるんだ」
「あ?」
「オマエの天使が泣いてんだ!調律師なのに、わからないのかよ!?」
「くだらねぇ!天使は機械!結局は、人間にこきつかわれる道具でしかねぇ!」
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