私と私

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3年生2人、2年生1人。そして私の1年生1人。 録音室に揃った4人。 目の前にはスタンドマイク。 手元には原稿。 「さつき先輩、1年生を突然連れてきたと思ったら、声劇までやるんっすか??」 「まあまあ、やってみればわかるから。  君、名前は?」 「えっと…永谷といいます。」 「下は?」 「…遥です。」 「普通、名前も聞かずに連れてくるもんじゃないだろ、さつき。」 「私、裕太と違って普通じゃないから。仕方ないでしょ?」 「それで?その遥って子に『杏』役をやってもらうんすよね?」 「そう。私が『京子』。海人くんが『大和』、裕太は『誠』をお願い。」 「はーいはい。」 「いや~楽しみっすね~」 配役まで既に決められていて。 本当に何を考えているかわからない、3年のさつき先輩。私に声をかけた張本人。 少しだるそうに、壁によりかかりながら立っている3年の裕太先輩。 わくわくしているのか、軽くジャンプしている2年の海人先輩。 「それじゃあ始めます。遥ちゃんは、マイクの使い方とか発声とか、細かいことは気にしなくていいから、とりあえず、物語の中の『杏』になりきってみてね!ああ~あと原稿の下読みとかしなくて大丈夫だから、初見でいけるところまでいっちゃって!」 「…わかりました。」 言われたことにそのまま従ってしまう自分。疑問に思っても言い出さない自分。話しかけられない限り口は一切開かない、大人しい自分。どれも偽りの自分なんだ。
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