顔貸し屋

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 私が彼の誘いに乗ると、彼はまるで宝くじでも当たったかのように喜んだ。相変わらず感情に素直な人だ。私は懐かしさと、喜びに浸りながら、彼との時間を過ごした。 「また来週、会えるかな」  別れの際、真剣な声で彼がそう囁いた。  来週。その言葉に私は悩んだ。顔の貸し出し期間は一週間。続けての顔の貸し出しはできない。規則を破ったら、私はもう別の顔を身に着けることはできない。けれど、この顔であれば来週また彼に会うことができる。彼が私を求めてくれるのだ。  悩んだ結果、私はまた来週会う約束を交わした。  なに、厳守と言いながら、その約束を守れないことだってあるはずだ。図書館だって、期間を過ぎても返却を受け付けてくれる。だから、きっと大丈夫。延滞料なり払えばきっと許されるはずだ。私はそう自身に言い聞かせた。  そうして私は、毎週末欠かさず訪れていた店に行くことを、やめた。
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