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【 プロローグ 】
さほど青くもない、この隅田川沿いのベンチで、ひとりそんな空を見上げた。
「東京の空は白いんだな……」
田舎で見る空の色とは、まるで違って見える。
ここの人たちは、空が青いっていうことを知っているんだろうか。
そんなことを思いながら、天に向けた頬の上に薄桃色の花びらが、ヒラヒラと一片落ちてきた。
もう、桜の季節も終わりを迎える。
頬についたその小さな花びらを二本の指で摘まむと、3年前のことを思い出した。
まだ、あの時のことを僕は引き摺っている。
ポツポツと白い天井から雨漏りをするように、周りのコンクリートが濃い灰色の水玉模様に変わる。
近くでくつろいでいた人たちも慌ててあちこちに走り出した。
この雨は「和金ちゃん」の涙なんだろうか。
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