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学校では新学期、職場では新年度を迎え何かと慌しい四月も月末が近付くにつれて周囲が少しずつ浮き足立ち始める。
春の大型連休を間近に迎え、その葉書は弘一の元にも届けられた。
「同窓会、か」
パソコンで印刷されたそれは高校の同窓会案内だった。
日付は連休の中日。有休を取ることは出来ないが非番である可能性が高い日だと気付くと弘一はペンで出席に丸をした。
メッセージ欄に事件次第、と書いておく。
卒業後、毎年案内が来てはどうせ行けるワケがないと欠席に丸をしていたそれを何故今年になってと自分でも思ったが何と無く興味が沸いた。
卒業から十年。変わっているであろう同級生がどうなっているのか、想像すると自然と笑みが零れた。
連休中の居酒屋は満席だった。
活気ある店内を見回すと弘一はふと客の一人と目が合った。
少し間が空きお互いに笑顔が零れる。
「弘一か?」
「久し振り」
答える弘一に席に座っていた他のメンバーも顔を出す。
「弘一―!」
「遅いぞ~」
懐かしい友人達に手招きされ弘一は笑顔で手を振り返した。
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