プロローグ。されどエピローグ。

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プロローグ。されどエピローグ。

 終わってから始まる、後悔の物語。  恋というのは、始まった段階で終わりを見据えているし、終わった段階で始まり始める。「始まり始める」なんて重ね重ね、しつこい様な表現なのかもしれないけれど。  それでも、僕の気持ちを、僕の後悔を語り始めるのなら、こういった繰り返しは大事なんだろう。なんて言ったって、僕のこの恋は悪い悪い繰り返しだったんだから。  些細な行き違いとか、保身のための言い訳とか。ありふれた恋の中に芽生えた後悔と不思議な特別が僕の中から消えはしない。 「この恋は特別だったんだ」 「あなたは特別な人だったんだ」 そう思っては、なぜ手放してしまったのかと自責を始める。吐き気がする。目眩がする。眩しいあなたを直視できた時代に戻りたい。ベットの端が暖かったあの時代に戻りたい。 きっと、僕は負けたんだね。  気付けなかったのは僕のくせに、こうやってまた後悔している。 後出しジャンケンみたいな恋の話。  ダメダメな僕の話を、後悔の話を始めよう。これまでの「誤解」の後悔を忘れないで始めよう。取り留めのないプロローグを。恋の終わりのエピローグを。
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