はじまり

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 訳が分からなかった。だってボクはごく普通の村で育った村人だから。なのに王様は笑いもせず、真面目な顔をしてる。だから、ボクは思わず王様に聞き返した。 「失礼ですが王様、ボ────ごほんっ、私が何故勇者に……? 私は何処にでもいる村人です。他に相応しい人がいるのでは」 「いや、他にはいない。ゼド、そなたは必ずや魔王を倒すだろう。儂の目に狂いはない。これは、()()()()()()()()()()()()」 「私にしか……ですか?」 「そうだ」  ボクにしかできない。生まれて初めて、しかも王様にそう言われてボクは嬉しくなった。魔王を倒さなきゃいけないのに、何故か不思議と頬が緩んで笑顔になる。
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