サンドウィッチ

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 「神に人は、無私の愛を捧げるそうですが本当にそうでしょうか? 人である以上、欲は捨てられないものではないでしょうか。恋愛もそうではありませんか? 見返りを求めぬ愛などありましょうか?  私の気持ちを試されているような気がして、私は狼狽えながらも答えました。  無私の愛は存在します。と。貴女への私の思いのように。と、思わず告白してしまいました」  洋史は面食らうしかなかった。森本は何を話したいのかが分からないまま聞き手に徹していると、惚気話に突入してしまったのだ。  それでも、話を止めるわけにはいかなかった。森本の機嫌を損ねるようなことになってしまえば、全てはおじゃんである。 「彼女は私の告白に、微かな笑顔で答えてくれました。その笑顔は美しかったけれど、とても冷たかった……。私に対する興味など欠片も存在しない。と、物語っていた。  其れでも良かった。傍にいることを許されているだけで幸せだった……」
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