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いいや。と思う。これほどの美人が、あちこちに存在するなど不自然だ。と。姉妹なら兎も角、洋子は一人娘だと聞いた。
では従姉妹は?
心の中でもう一人の自分が問う。近所の人間が知らぬ、腹違いの姉妹がいたのでは? と。
洋子、いや、蕗子は直通を裏切ったのではなく、既にこの世の人ではなくなっていたのでは? だから姿を見せなくなった。
扉の鳴る音に洋史は我に返り、はい。と答えると、美木多が顔を出した。
「森本様からの頼みで、何も注文されないようだったら、おやつを。と」
態々美木多自ら、シュー・ア・ラ・クレームと牛乳をたっぷり注いだカフェ・オ・レを運んで来てくれたようだった。
「ありがとうございます。
こちらから申し込んだようなものなのに、申し訳ない気持ちです」
「一つでも良いから知りたいのだと仰っておいででした。
二人の知りたい理由も内容も違うのかもしれないけれど、それでも望む何かに近付きつつあるのではないのかな?」
近づいているのか、もしかしたら遠ざかっているのかもしれないけれど、進むしかないのだ。
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