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次に浮かぶのは、黄色いつぶつぶとした皮下脂肪。弾力を持つ腸。
そして、規則正しく動き続ける心臓。
吐き気を催しそうな臭いの、立ち込めた手術室で見せられた、内臓器官が頭から離れない。
皮膚の上からは細い静脈しか確認できぬから、動脈の太さには驚かせられた。
普通の人は知るまい、腹の中を。
筋肉と脂肪と粘膜の塊が、人間であるとは思えなかった。
医者の目には人と見えるのだろうか。
患者の命を一秒でも長く保たせようとする必死の様は、直通に疑問を持たせた。
あのぐちゃぐちゃの腹を見て、どうして平然としていられるのだろう。
柔らかそうな肝臓を握り潰したい衝動に駆られることはないのだろうか。
働き者の心臓を、切り裂きたいと思わないのだろうか。
(そう考える、僕が異常なのだろうな)
次に瞼に浮かんだのは、浅草で見た奇術。
レビューのような、露出の大きな洋服を着た若く美しい女を磔にして、見るも怪しげな黒いマントを羽織った男が、段平を煌めかせながら二三回振ってみせた。
口元には怪しげな笑みを浮かべながら。
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