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神山健一先生のお宅に
[ 瑠璃ちゃん、いや、お姉さまだった。
そろそろ、行くよ。]
[ お姉さまなんて嫌よ。瑠璃ちゃんでいいのよ。今まで通り。]
私の弟は、高岡健一という名前の、大学一年生。
東大法学部に、いとも簡単に合格した。
健一は、私の、母親違いの弟。
五月生まれだから、Mayと呼んでいる。
私は、西条瑠璃。大学院生。国文学科。
Mayとは、結婚するはずだった。
母親違いの弟と知らずに、お互いに愛しあっていた。
とはいえ、キスしかしていない。お互いに
カトリック教徒だからだ。
Mayと、半分血が繋がっていると知った時、私は、生きる意味を失った。
それほど、Mayは、私にとって大切な存在だった。
これから書きたいのは、Mayのことではない。
Mayの大切な師である [ 神山健一 ]先生のお宅で、お聞きした、大切な話である。
神山( かみやま )健一先生と、私は、初対面だから、緊張している。
[ May、髪型はこれでいい? 洋服は? 派手じゃあない? ]
[ 大丈夫だよ。心配いらないよ。]
私は、どきどきしながら、神山健一先生のお宅に、向かった。
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