神山健一先生のお宅に

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神山先生に、正座をして挨拶をした。 [ これは、詰まらない物ですが。] 私は、羊羮の包みを渡した。 [ これは、ご丁寧にありがとうございます。] 奥様は手をついてお辞儀をされた。 [ さぁ。こちらにどうぞ。] 布団のない。堀こたつ。 [ 私ども、正座はもう嫌なんです。こちらにいらして。] Mayと私は、堀こたつに座った。 神山先生は、はっきりとした、顔立ちをしていらした。 お若い頃は、さぞかしイケメンだった、だろうと思う。 [ 綺麗で可愛らしい、お嬢さんだ。家内の若い頃にそっくりだ。] 奥様が、冷たい緑茶を出して下さった。 神山先生の左手は、義手のように思えた。 [ 私は、特攻隊の生き残りです。敗残兵です。] [ そんな、、敗残兵だなんて、、] 私は、思わず泣いた。涙が勝手に溢れ流れた。 ハンカチでは、足りなかった。奥様がタオルを渡して下さった。 Mayも、泣き始めた。泣かずにはいられない程、悲しかった。
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