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その小説、読んじゃ駄目です!
あの小説だけは手に取るな。あれだけは読むな。そう誰もが親に教えられてきた。しかし人は好奇心には勝てない。今まで多くの人がその小説に呑まれていった。その小説の二つ名は『終わりなき小説』
その本が置いてあるのは名も無き図書館『余暇は雪』と言う所にあった。その図書館の管理人はアナログ民でその話題を知らずにいた。
ある日、図書館に警察の者たちが来た。そこで管理人は初めて事実を知った。その小説は図書館内にあるOPACと言う検索機を使ってみても見つからなかった。管理人も心当たりが無いと言う。警察の者たちは一冊ずつ探した。噂によると白と黒で構成された表紙が目印なので、白黒の本が机に堆く積み上げられていた。その中で一つ異彩を放つ本があった。と言うよりそこの本たちと比べて随分薄いのだ。埋もれてしまっている。管理人は椅子に座っていたため見つけることが出来たが、これを持ってきた人は違和感を感じなかったのだろうか。管理人はその本を取った。堆く積み上げられていた本が崩れ落ちガタガタと音が響く。その音に反応して警察たちがこちらを向く。
「爺さん、大丈夫か?ここは捜索するから他の所に行ってた方が良いよ」
「刑事さんがそう言うなら……」
管理人はその本を懐に隠し、図書館から出た。
その後、管理人と本は見つける事が出来なかった。
二年後、キャンプをしに山へ来た男性が本が発見した。ものすごく薄く五ページも無いものだった。男性は噂を知っていたため、本の中身を見る事なく焼却処分した。
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