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プロローグ 僕んちのベランダに鬼がいる。
確かに友達が欲しいとは願った。願ったけども。
神代飛鳥は自分のうかつさを呪ったが、カラスの羽がもう遅いとあざける様に降ってくる。その光景と目の前の男の顔は、現実離れして美しくもあり、同時に禍々しい。今は形もないが、その額にはグロテスクな角がある、と知っていればなおのことだ。
鬼が立っている。表情のない目が飛鳥をとらえて離さない。ガラス越しにじっと見つめる縦長の瞳孔から、目を逸らしたら喰われてしまうのではないか、と恐ろしかった。
事の経緯は、昨日の昼にさかのぼる。
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