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「ああ、コタのケーキが食べたい」
黒い細身の戦闘服。耐久性はあるが、可愛らしさはひとかけらもない、コンバットブーツ。腰にはハンドガンをぶら下げた物騒な女が、そう呟いた。
もう若いとは言い難いが、国籍不明の顔立ちは美しく、その不敵な笑みは魅力的だった。
「今から任務って時に、気の抜けるようなことを言うな」
隣の男がイライラしたように言った。
「ケーキくらい、終わったら俺が食べさせてやる」
「分かってないなぁ」
女はやれやれと首を横に振った。
「コタのじゃないと意味がないんだよ」
男は舌打ちすると、そのまま黙って女の後ろについて歩いた。
どうやら男が咎めたのは、単純に女の緊張感のなさだけではなかったようだ。
くだらない軽口を叩きながら歩いていた二人…リョーコとカイトが、目的の村に入った途端、空気が変わった。
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