運命の子  理想的な家族2ー良子

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 一瞬で、二人は黙った。それだけで、お互いに通じる。  手勢を増やし、奴らが戻って来たのだ。  もしかしたら、こちらが二人だけなのを、知られたかもしれない。  カイトがさっと北側に目をやる。  そこには人家らしきものは見えなかった。何かの工場跡か、作業場跡か、トタン屋根の建物が集まっていた。もちろん、もう機能している様子はない。どれもこれも斜めに倒れ掛かり、お互いがかろうじて支え合っているようにみえる。  エンジン音は西から聞こえた。こちらに向かっていて、リョーコたちが見つからなければ、そのまま東に向かって走っていくだろう。  今はまだ目を覚ましていないが、腕に抱いている子どもたちがいつ目を覚ますかも分からない。  リョーコは頷くと、北の工場跡に向かって走り出した。カイトも続く。  リョーコたちが建物の陰に隠れるのと、土煙を上げながら車が姿を現すのがほぼ同時だった。  中型のトラックだ。むき出しの荷台に、四人乗っている。二人はマシンガンを片手に目を血走らせていた。  トラックはリョーコたちの前を通り過ぎていった。
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