再会と電車

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再会と電車

-再会と電車- 私は今日も自転車をこぐ。青い空が広がり、辺り は一面の田んぼでまさに夏の田舎だ。山の麓には 電車の線路がまっすぐに伸びているのが見える。 車通りはない。最近しばらく会えてない彼のため に、今日はたくさんの花をもってきた。あかざや ひゆ、つゆくさなど、彼は喜んでくれるだろう か。上り坂が見えてくると同時にペダルに力を入 れる。青で済んだ空はまるで時が止まってしまっ ているかのようで、雲一つ動かない。少しだけ寂 しげな景色に戸惑いつつも必死にペダルを踏み込 んでいく。峠を越え下り坂に入る。あともう少し で彼のもとだ。この森を抜けた先に彼はいる。嬉 しい気持ちでいっぱいだが、彼が遠くへ離れてし まうようなそんな寂しさを感じた。道を進み、や っと森の出口が見えた。森の出口に差し掛かっ た、踏み切りの向こうに彼はいた。立っている彼 の左手には、何故か花が握られていた。私の摘ん だ花と同じ花だった。自転車を下りて、彼のもと に駆けよったところで、彼は言った。 「君の側にずっといれば良かった」。 そういうことだったのか。 電車の汽笛が聞こえた。 私は今日も、自転車を漕ぐ。 ー再会と電車-
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