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その2
壁となった警官が二人になり、それぞれ対応することになったのだが、向こうの怒りは収まらない。ので、再度、謝ることとなった。
「おう、てめぇどういう意味だ(中指を立てながら)これは、(中指なんて立てながら)これは!!どういう意味だっていってんだよ!!」
「(今度は土下座して)本当に、申し訳ありませんでした」
数秒後、頭を上げた。
「おらぁ!だから、どういう意味だっつってんだよゴラァ!!」
「…申し訳ありません」
「今の時分、中学生ですらもしねぇぞゴラァ!!おい!おまえん家に連れていけ!!それが嫌なら俺ん家に来い!!すぐそこ(男が住んでいるらしい横断歩道の向こう側のマンションを指しながら)だからよぉ!!そこでしばき倒して、根性入れ直してやる!!」
俺、自分でも何故か、わからないがため息をつく。
「んだ、そのため息はよぉ!!」
俺、ここでも自分でも何故かはわからないが、すぐ横のマンションの壁に”反省”のポーズをとる。
「てめぇ、何がしてぇんだよゴラァ!?」
「(何が何だか分からなくなったのだろう、何故か再び土下座して)本当に申し訳ありませんでした」
「おう、土下座か、土下座か!!土下座するくらいなら中指なんざ立てんじゃねぇぞゴラァ!!」
「いやぁ、お兄さんの言う通りです。はい」
「中指なんざ立てやがってよぉ!カスが!!おい、てめぇ、年いくつだ!?」
「は?」
「年はいくつかって聞いてるんだよ!?」
「はぁ」
「俺は三七だよ!!」
「…お兄さんより年下です。はい」
「俺は接客やってんだよ!こんななりしてっけどよぉ!!俺はホストやってんだよ、ホスト!!おまえみてぇな奴はなぁ!ホストの世界ならとっくに袋叩きの上、沈められてんぞ、オラァ!!」
「(笑顔を張り付けて)いやぁ、お見それしました」
「なんで中指立てたんだよ!?なぁ、中指立てたんだよ!?」
「(笑顔を張り付けて)いやぁ、感情が上手くコントロールできなくて…」
「んな訳あるかゴラァ!!」
「まぁまぁ。お兄さんちょっと…」
「(ホスト崩れ、警官に引き剥がされながら)おい!てめぇ!!今すぐ勤め先の上司呼べ!!上司と一緒に頭下げろや!!」
「あの…もう帰っていいですか?」
「ダメですよ!!帰ったら追いかけてきますよ!?」
「…ちなみに、感情云々の件ですが、証拠ならあります。婦警さん、ちょっと見てください」
ここで、カバンから障害者手帳を取り出し、婦警さんに、続けてやってきた警察官に障害者手帳を見せた。
「「…」」
「…」
警察官が去る。そして、俺の一人語りが始まる。生活保護を受けていたこと、精神をやられていること、手帳の取得、就労支援事業を通じて最近になって就職できたことをかくかくしかじか。
「…」
「…」
「…でも、ですよ、中指立てたことには関しては謝る気はありますか?」
「…謝らなきゃならないんですよね?」
「そうですよ!!」
遠く見ると、男と警察官が話している。
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