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別れ話
それから、別れ話はとんとん拍子に進んでいった。
「お別れは今日からきっかり一か月後、その日の日付が変わるまで。それまでにやり残したことをやり尽くそう」
ノノはそう一人で決めた。
最初のうちは「急にお別れなんて」と抵抗したが、彼女の意志は岩石のように固く、揺らぐことはなかった。
だから、僕も従うしかなかった。潮時なんて言われ続けていたら、本当にそうかもしれないと思うようになってしまうもので、一週間もしないうちに抵抗をやめた。
僕たちは互いのやりたいことをたくさんやった、と言いたいけれど、それなりにさまざまなことをやってきたから正直、コレといってやり残したことはなかった。
一か月間、それまで通り、週に何度かどちらかの部屋で寝泊まりをして、週末にはデートをした。流石に遠出はできなかったけれど、この期間で一度だけ近場の温泉に行った。ここに来て初めての場所だったけれど、いい思い出になった。
そして、冒頭のときを迎えた。
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