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エイワスの書
王立魔導図書館。
ここには世界中、数多の魔導書が収められている特別な場所。
一般向けに販売、支給される魔導書は一度魔法学会に提出され、厳正な審査を通過したものだけが、市販化され、その後ここに集められる。
しかしこの図書館には奇妙な噂があった。
夜な夜な啜り泣くような、怪しい人声が聞こえてくると言う話で、警備員の人が怖がっているらしい。
そんな噂の真相も気になる中、1人の少女。つまり、私はここに就職していました。
「今日から私も魔導書官。頑張らなくっちゃ!」
意気込みも込めて、強く拳を握り点高く突き上げる。
勢いが強すぎて、肩が外れそうになったけど、嬉しくて仕方なくてそんなこと考えもしなかった。
ここまでの道のりは険しかった。
昔から本を読むことが好きで、特に魔導書は読み漁っていた。魔導書や魔法には人一倍自信がある。もちろん記憶力だけじゃなくて、魔法学科専攻を通った程なので、お手並みもなかなかだと自負していた。
「今日から新人魔導書官として働いてもらう、リーン・エイワス君だ。皆んな、しっかり頼むよ」
「リーンです。まだまだ未熟ですが、いつかは世界一の魔導書士になれるよう、頑張っできます。皆さん、よろしくお願いします!」
私はペコリと頭を下げた。
すると拍手喝采が、私を歓迎してくれた。
それが嬉しくて、頬を緩ませるけど、すぐにしゃきっとする。
これから私は、ここで頑張るんだと、自分を鼓舞したのも束の間、私を紹介してくれた魔導書官のリーダーが、神妙な面持ちで声を低くして呟いた。
「それじゃあ、今年もやろうか。この時を」
「「「ごくり」」」
「えっ、何をするんですか?私、聞いてないんですけど」
先輩方は、皆んな喉の奥から鳴らしていた。
1人は目が血走っていて、また1人は神に祈りを捧げ、それからまた1人はぶつぶつと唱えている。
「あ、あのー」
「それじゃあ行くよ。運命の秘蔵書庫管理員決めのくじ引きタイム!」
「「「おんどりやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
もの凄い覇気と発狂が折り重なる。
急に雰囲気が混沌とし始め、よくわからないままリーダーが取り出したのは紐だった。
「えーっと、紐くじですか?」
「そうだよリーン君。これから、僕達の運命を左右する大事な大事なくじ引きをするからね。新人だからって、自分は関係ないよはないからね」
「は、はい!」
念の押し方が強い。
如何やら、関係ない素振りを見せて逃げるのは駄目そうだった。だけど、一体何のくじ引きなのか。未だによくわからないまま、私は差し出されたくじを引いていました。
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