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 腹減ったなと、グルが買ってきたパンで、夕飯を二人で軽くとり、 夜も更けたころ、二人はベッドの前でもめた。 「エルモが使え」 「グルさんが使って」  ことの発端は、 「わたしは床で寝るのでベッドはグルさんが使ってください」  それに反発したのはグル。 「いや、エルモがベッドを使え」  と真っ向から衝突した。エルモは言い争いが嫌で、一掃のこと「一緒でもいい」とグルに言ってしまったのだ。エルモの言葉に驚き固まるグル――そして、口がわなわなと震え目が座った。 「お前がいいって言ったんだからな、まあ、俺からは手は出さないけどな」 「わ、わたしだって出しませんよ」  ベッドは一緒に使うと、売り言葉に買い言葉で決まったのだ。だけど、グルさんは明日から二、三日いないと言っていて、また帰って来ても直ぐに用事で出かけると言っていた。 ❀  エルモがグルと暮らし始めて、一日目。 (……ん、温かい)  朝日と温かなぬくもりで目が覚めると、昨日の夜はお互いに背中合わせに寝たはずなのに、グルはエルモを後ろから抱きしめて眠っていた。グルの腕の中は心地よく、不思議とエルモを温かな気持ちにさせてくれた。 (まだ寝てる?)  エルモは寝返りを打ち、近くで眠るグルの寝顔を、しばらく眺めた。  とつじょ眉間にシワが寄り、グルのエメラルド色の瞳が開き。 「何、見てんだ?」 (あなたの寝顔を見ていたなんて、言えるわけがない) 「べ、別に……お、おはようございます」 「そう? おはよう」  恋人同士でも無いのに一緒の布団で眠る、ちょっと変なエルモとグルの関係だ。
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